# s05: TodoWrite — 計画なき Agent は途中で道を外れる
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> *"計画なき agent は風の向くままに"* — まず手順を列挙してから実行。長いタスクで見落としが減る。
>
> **Harness レイヤー**: 計画 — Agent が行動する前に考えさせる。
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## 課題
Agent に複雑なタスクを与える:「全 Python ファイルを snake_case にリネームし、テストを実行し、失敗を修正して。」
Agent は作業を開始する。3 つのファイルをリネーム、テストを実行、2 つの失敗を発見、修正を開始。修正しているうちに、本来の目的が「snake_case にリネーム」だったことを忘れる。テストの失敗に注意を全て持っていかれる。
会話が長くなるほど悪化する:ツールの結果がコンテキストを埋め続け、システムプロンプトの影響力が希釈される。10 ステップのリファクタリング:ステップ 1-3 を終えた時点で Agent は即興で動き始める。ステップ 4-10 は既に注意の外に追い出されているから。
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## ソリューション

前章の最小フック構造を保持し、本章では新規の `todo_write` ツールとリマインダー機構に注目する。`todo_write` は実際の作業を何もしない。ファイルを読めない、コマンドを実行できない。Agent が手を動かす前に思考を整理できるようにするだけ。
ディスパッチ機構は変わらず、新ツールも `TOOL_HANDLERS[block.name]` を経由する。ただし、todo リマインダーのデモのため、ループにカウンターを追加した:連続 3 ラウンド `todo_write` を呼び出さないとリマインダーが注入される。
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## 仕組み
**todo_write ツール**は、ステータス付きのリストを受け取り、現在のプロセスメモリに保持し、端末に進捗を表示する:
```python
CURRENT_TODOS: list[dict] = []
def run_todo_write(todos: list) -> str:
global CURRENT_TODOS
CURRENT_TODOS = todos
lines = ["\n## Current Tasks"]
for t in CURRENT_TODOS:
icon = {"pending": " ", "in_progress": "▸", "completed": "✓"}[t["status"]]
lines.append(f" [{icon}] {t['content']}")
print("\n".join(lines))
return f"Updated {len(CURRENT_TODOS)} tasks"
```
ツール定義は他の 5 つと一緒にディスパッチマップに追加される:
```python
TOOLS = [
{"name": "bash", ...},
{"name": "read_file", ...},
{"name": "write_file", ...},
{"name": "edit_file", ...},
{"name": "glob", ...},
# s05: 新規追加
{"name": "todo_write", "description": "Create and manage a task list ...",
"input_schema": {
"type": "object",
"properties": {
"todos": {
"type": "array",
"items": {
"type": "object",
"properties": {
"content": {"type": "string"},
"status": {"type": "string", "enum": ["pending", "in_progress", "completed"]},
},
},
},
},
},
},
]
TOOL_HANDLERS["todo_write"] = run_todo_write
```
**Nag リマインダー**、モデルが連続 3 ラウンド `todo_write` を呼び出さないとき、リマインダーが自動的に注入される(教育用機構、CC ソースコードに固定ラウンド数のロジックはない):
```python
if rounds_since_todo >= 3 and messages:
messages.append({
"role": "user",
"content": "Update your todos.",
})
rounds_since_todo = 0
```
Agent がタスクを受け取った後の典型的な流れ:まず `todo_write` を呼び出して全手順を列挙(全て `pending`)→ 一つの手順に取り掛かり、`in_progress` に変更 → 完了したら `completed` に変更 → 次の `pending` を見る → 続行。3 ラウンド `todo_write` がない場合、次の LLM 呼び出し前にリマインダーが追加される。
**重要な洞察**:todo_write は Agent に**実行能力**を何も追加しない。追加するのは**計画能力**だ。
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## s04 からの変更
| コンポーネント | 変更前 (s04) | 変更後 (s05) |
|--------------|-------------|-------------|
| ツール数 | 5 (bash, read, write, edit, glob) | 6 (+todo_write) |
| 計画能力 | なし | ステータス付き TODO リスト + Nag リマインダー |
| SYSTEM プロンプト | 汎用プロンプト | 「先に計画してから実行」のガイダンスを追加 |
| ループ | 不変 | ディスパッチは不変、rounds_since_todo カウンターとリマインダー注入を追加 |
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## 試してみよう
```sh
cd learn-claude-code
python s05_todo_write/code.py
```
以下のプロンプトを試してみよう:
1. `Refactor s05_todo_write/example/hello.py: add type hints, docstrings, and a main guard`(まず 3 手順を列挙してから実行するはず)
2. `Create a Python package under s05_todo_write/example/demo_pkg with __init__.py, utils.py, and tests/test_utils.py`
3. `Review Python files under s05_todo_write/example and fix any style issues`
観察のポイント:最初のツール呼び出しは `todo_write` か? TODO は何手順列挙されたか? 実行中にステータスが `pending` から `in_progress` / `completed` に変わったか?
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## 次へ
Agent は計画できるようになった。しかしタスクが大きすぎる場合、例えば「認証モジュール全体をリファクタリング」、TODO リストだけでは不十分。そのタスク自体が数十のサブタスクの集合体で、同じ会話のコンテキストに押し込めると溢れてしまう。
→ s06 Subagent:大きなタスクをサブタスクに分割し、それぞれを独立した Agent に任せる。それぞれが独自のクリーンなコンテキストを持ち、相互汚染がない。
CC ソースコードを深掘り
CC には二つのタスクシステムが共存している(`tasks.ts:133-139`):
- **TodoWrite(V1)**:シンプルなリストツール、データはメモリ AppState で管理(`TodoWriteTool.ts:65-103`)。教育版もプロセスメモリに保持し、終了時に消える
- **Task System(V2 = s12)**:ファイル永続化、依存グラフ、並行ロック、ownership
切り替えは `isTodoV2Enabled()` で制御される。現在のソースコードの実装:対話型セッションでは V2 がデフォルトで有効、非対話型セッション(SDK)では V1 がデフォルトで有効。`CLAUDE_CODE_ENABLE_TASKS` 環境変数を設定するとセッション種別に関わらず V2 が強制有効になる。ソースコメント「Force-enable tasks in non-interactive mode」は環境変数パスの用途を説明しており、デフォルト分岐の戻り値のセマンティクスとは異なるため注意。
教育版は実際のソースコードにある `activeForm` フィールドを省略している(`utils/todo/types.ts:8-15`)。CC は UI スピナーに「何をしているか」を表示するために使用するが、教育版は端末出力のみでこのフィールドは不要。
教育版の Nag リマインダー(3 ラウンド未更新で注入)は教育用機構。CC ソースコードに固定「3 ラウンド」のロジックはなく、最も近いのは `TodoWriteTool.ts:72-107` で 3 つ以上の todo が全て完了しているのに verification 項目がない場合に verification nudge を追加する処理。
Task System の TodoWrite に対する核心的な増分:
- メモリリストではなくファイル永続化(Claude 設定ディレクトリ下 `tasks/{taskListId}/{taskId}.json`)
- 平坦なリストではなく `blockedBy` 依存グラフ
- ロックなしではなく `proper-lockfile` による並行安全性
- 一つのツールではなく四つの独立ツール(Create/Get/Update/List)
- TaskCreated / TaskCompleted フック(`TaskCreateTool.ts:80-129`、`TaskUpdateTool.ts:231-260`)による外部システム統合